この作品の設定を少子高齢化が進んだ100年後の日本にしました。空間のメインである卵型の装置は、人間の意識をアーカイブし肉体を義体化する装置です。この中に入った人は自分自身のあらゆるデータを仮想世界に転送・アーカイブされ、その中では永遠に生きることができます。また、肉体は装置の中でアンドロイドに変換され、現実の社会で介護や育児ロボットとして貢献します。
映像は100年後のテレビです。人工子宮が当たり前になったことと、新しい卵型の装置に初めて人間が入ることなどが100年後のニュースで流れています。100年後の少子高齢化の対策をニュース形式で表現しました。
机の上にある手紙は、100年後の私が書いたものです。内容には、科学が発展し変わってしまった社会に対する不安と、後悔が書かれています。
卵型アーカイブ装置「NOA」
100年後の私から届いた手紙
100年後の「人工子宮」についてのニュース
制作プロセス
きっかけは、『ハーモニー』(伊藤計劃著)という本です。この本の科学が発展した近未来の世界に魅了され、私も未来についてよく想像するようになりました。日本の未来について調べたところ、人口の減少とともに少子高齢化の社会問題が進んでいることを知りました。そこで、私が想像する100年後の未来を空間で演出し、私の作品を通して少しでも未来のことを考えてほしいと思い制作を始めました。
メインの大きな卵型装置「NOA」はスタイロフォームでできています。スタイロフォームを半円に切っていき、それを積み重ね、余分な角を削り、パテで白くした後、最後につや出しのニスを塗って完成しました。